絵描き・近藤太郎のマルオカ工業・天竺綿研究 〜天竺綿木枠張り編〜

みなさんこんにちわ!
前回に引き続きマルオカ工業の天竺綿を使いどんな絵が描けるのかという事をやっていきたいと思います。

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今回は天竺綿を「組んだ木枠」に張ったものを使います。パネル貼りとの違いは、個人的にはパネル貼りの場合天竺綿の下に板があるので鉛筆などを使ってより緻密に安定して描けるというのに対し、もちろん木枠張りの場合も鉛筆を使い細かく描く事もできますが、それよりかは筆を使い色の面を塗るようにして形を出していく描き方に適しているのかなぁと思います。また小さいサイズではそれほど関係はありませんが、持ち運ぶ際木枠の方が軽かったり、解体することができるので実際の風景を見て描くのであれば木枠張りが適していると思います。

では早速描いていきたいと思います!
今回はドーサ引き(滲み止め)ありとなしの二つの支持体に、アクリル絵具を使って描いていきたいと思います。

 

〈手順〉
①支持体を用意する。(滲み止めをする場合はドーサを引いて乾かす。)
②モチーフを探す。
③アクリル絵の具で描いていく。

 

 

①マルオカ工業で購入できる天竺綿ロールを描きたいサイズにカットし木枠に張ります。今回はS3号の木枠を使いました。

 

②モチーフ選びですが前回「山椒の木の枝と葉と実」を描きました。なので今回は風景を描きたいなぁと考えていました。
支持体の一つはドーサ引きしていないので良く滲みます。この滲みを活かして描く技法を「ステイニング」と言います。このステイニングを使うことで全体にボヤが掛かったような、曖昧な絵肌を描く事ができます。この技法を活かせる風景が良いなぁ。

今日は、ここ何日か晴れが続いていたのですが、たまたま雨が降っていました。マルオカ工業の周辺を歩いていると目の前を流れる木曽川とその後ろに鎮座する山々に霧が掛かりこれはモチーフにピッタリ!と思いました。雨の日は気持ちが沈みがちですが、雨の降る日だからこそ自然は普段見せてくれない一面を見せてくれたりもします。

今回のモチーフはこの霧の掛かった山々に決めました。しろとグレーの空がそのまま霧になって山に流れていてとても神秘的です。

 

③アクリル絵の具で描いていきます。その前にステイニング技法を活かすために、張った天竺綿を刷毛で全体的に濡らしたいきます。

全体が濡れたらアクリル絵具を使って塗っていくのですが、塗るときのポイントは薄い色、明るい色から塗っていきます。今回のモチーフの場合は空と霧の部分をまずは薄く塗っていき、その後木の葉の明るい部分に色を乗せていく順序です。

全体的に明るい部分や薄い部分に塗り終わったら、今度は暗い色、濃い色を乗せていきます。ここで山や木の形や輪郭が何となく出るように色を乗せていきます。

塗り終わるとステイニングなので全体的にぼやけてしまうのですが、もし明確に形を出す部分、強く見せたい箇所があればアクリル絵具を水で溶かさず濃いめに塗ります。本当に強く見せたい場合は塗るというよりも絵の具を乗せる感覚でも良いと思います。

完成しました!

ステイニングの良いところは心の中の柔らかい印象を絵にできる所だと思います。特に今回のモチーフのような雨の日に掛かる霧はとても画題として合っていたように思います。また自身で絵の成り行きをコントロール出来ない事もこの技法の面白さです。筆で色を塗った直後から周りに広がっていき他の色と混ざるので自分の予想よりも画面上の色数が増えるのもまた魅力です。まさに絵画自体も自然そのものの技法なのでした。

今回はイーゼルに立てかけて描いたのですが、本来は床置きなどの方がステイニングにはおすすめです。というのも天竺綿に含ませた水は下に流れていくので絵自体も下に流れていきます。なので場所が良ければ床置きで描いてみてください。

またステイニングを使っている代表的な画家に丸山直文さんという方がいます。もしご興味があれば見てみるのも良いかもしれません。モーリスルイスという海外のアーティストもこの技法を使っています。

 

ドーサ引きした同じサイズの天竺綿の木枠張りにも描きました。

ドーサ引きが足りなかったのか多少滲んでしまいました。これは木曽川の対岸に立っていた弁天様を描きました。背景は塗らなかったので裏面から彩色する裏彩色という技術も次は使ってみたいなぁと思いました。

では今回はこれで終わりたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

 

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