「池上玲子」
<天竺綿布と木枠を使用した制作レポート>
普段はシーチングと呼ばれる薄口の綿布を木枠に張りこんだ絵画を制作しています。 今回は木枠を提供していただき、下地用に天竺綿ロールを購入させていただきました。
天竺綿布はすこし触れただけでその肌理の細かさとしなやかさが感じられて驚きました。布に直接チャコペンで線をひくと、布特有のひっかかりがなくスムーズに描くことができました。生地はとても薄いのに布表面の密度が高く、木枠に貼りこんでいくとその張りの強さを手で感じることができ、絵の画面を作り上げる強度がある下地だと思いました。
加えて、脱色されていない生地ということで、今回は素材そのものの色味を生かして展示したいと考えていました。実際に展示場所で布を広げた時に独特の生地の色が自然光に映えつつ、それでいて白すぎず、向こう側が透けるほど薄い生地なので室内との調和がとりやすかったです。
どちらの素材も木曽で見つけたモチーフから作品を制作する中で重要な支持体として利用させていただきました。マルオカさんのハンマーを10年近く利用してキャンバスを張っていたので、このような機会をいただけて大変ありがたく思います。
南寿屋・新大坂屋で天竺綿布を利用した作品を展示
池上怜子 IKEGAMI Ryoko
「岩熊力也」