マルオカ第2工場

今回ご縁ございまして第2工場に持ち込まれたご依頼は「パネルから浮き上がってしまった作品をどうにかできないだろうか?」 といった修復案件です。

広義の意味で作品、作家さんを裏から支えたいといったマルオカ工業のアーティストサポート的な側面にも適合したお仕事内容かと思われます。

こちら→http://www.tomoisoyama.com/aboutus_j.html
のこちら→http://www.tomoisoyama.com/portfolio_j.html#orange

“オレンジ・キャンディーズ ver.2.0” パネル4連作が今回ご依頼承りました現品になります。

御依頼主の磯山様は作家さんの奥様でお話を伺いますと作品に対する並々ならぬ愛情が感じられ、また時系列は前後しますが通常美術館の展示収蔵時にしか見ることのない「美術館で見かける敷布」崖から落ちても中身は無事な「美梱の重〜いデカイ箱」など分かる人にしか分からないアイテムが普通にそこかしこと意識の高さが窺われ、こちらといたしましても改まって身の引き締まるような心地の良い仕事となりました。

さて、実作品の状況ですが、40×60inch (約1017×1525mm)の大判ライトジェットプリントの上に透明アクリル板を密着させた画面が同寸の支持体(オーダーメイドと推察される木製榀ベニヤパネル)に粘着固定されています。
が、おそらく支持体とアクリル版の収縮率のミスマッチとアクリル自体の自重により、コーナー縁からアクリル板が浮き上がってしまい仮止めでアクリルの浮きを抑えている状態です。

当該作品は4面の連作です。・・・制作時には当然4面同じ寸法で完成されているものと思われますが経時の変動で4面全ての作品がパネル寸法よりアクリルがはみ出しておりますし4面個々に最大4mmほどの寸法差があります。個々の品や晒されている環境にも依りますがアクリルの伸びは1mで1cm弱程度伸びる事例も珍しくありません。

ただし

①作品画面側に損傷は見受けられないこと。
②支持体のパネル自体に損傷劣化は見受けられず造りもしっかりされていること。
③アクリル支持面の粘着性自体は劣化で失われてはおらず粘度を保っていること。
④現況あるいは直近に作品面が剥落する様な著しく不安定な状態では無いこと。

等々勘案の上、『現状維持』の方針でお話を進めさせて頂くこととさせていただきました。

当初お話には貼り直しなど修復が念頭にありましたが、リムーブによる損傷のリスク。
また今回定着させたとしてもいづれまた経年環境変化でアクリルに変動が起き同様に浮いてくることは想定されます。
対処としては一見消極的ですが作品自体のオリジナリティーを損なう可能性があればそれをしないに留めるのがアートコンサベーションの基本的なスタンスとなります。

従いまして今回処置と致しましては『額縁でアクリルを浮き上がってこない様に抑える』ご提案となりました。

シンプルですがシンプルに作品自体のオリジナリティーを損なうことなく元に戻したい時は何時でも元に戻せる可塑性は理に適うのではなかろうかと。また後の磯山様からのご指摘のパネル裏に記された作家様の銘そのものも大切にされたいとの想いにも結果的に添えるものであったのではなかろうかと。

また今回は、作品の移動、お預かり保管中の事故などのリスク等々を踏まえ現地採寸のち日を改めまして弊社工場で製作した額を現地搬入現地セッティングの運びとなりました。

 

フレームの内側は内張りの2重構造で以降のアクリルの伸びにも緩衝できる様に細工してみました。

副次的に壁に架かった作品は背景の黒と各々の包装紙が視覚的に分離してより立体感を持って見える様になった様な気がいたします。

磯山さま今回はお仕事ご依頼(ならびに手土産の各種ハーブ、大量に)ありがとうございました。
今後より永きに渡り作品の状態が維持されると良いと願っております。

topへ