前回に引き続きマルオカ工業で働く方にインタビューを行いました!
今回のゲストはYさん。。実はこの方、普段は僕と同じくアーティストとして活動をしていて、
マルオカ工業では『よしいえあさみのマルオカ工業ー体験記ー』という漫画を描いて発信していました。
生産ラインで働く傍ら、その工場内で行われている仕事やマルオカ工業での出来事をコミカルに描いています。気になる方はこちらをチェック⇨『よしいえあさみのマルオカ工業ー体験記ー』シーズン1
そんなマルオカ工業の漫画家Yさん。今日はどんな話が聞けるのでしょうか?楽しみです。
太郎「今日はよろしくお願いします!」
YA「よろしくお願いします〜」
太郎「では早速インタビューを始めたいと思います。」
YA「はい!」
太郎「マルオカ工業で働いてどのくらいですか?」
YA「今ちょうど4ヶ月くらいですかね〜」
太郎「そうか。どうでしたか?この4ヶ月は」
YA「そうですね〜4ヶ月とは思えないくらい凄い濃い時間を過ごしたなぁ〜という風に感じてますね」
太郎「確かに、、濃い時間でしたねぇ〜まぁ色々体験したからだと思うんですが。」
YA「そうですねぇ〜」
太郎「では木曽に来たキッカケやマルオカ工業で働き始める事になったキッカケみたいなのを聞かせてください。」
YA「木曽に来たキッカケは、元々東京に住んでたんですけどコロナの関係で作家活動を東京でするというのもなんかこう、、別に東京じゃなくても良いなって思い始めていて。木祖村には元々何度か来た事があって、木曽ペインティングスで知っている人たちもいたので、どうせだったら移住してまた新しく生活を始めた方が前向きで良いかなぁと思って来ました」
太郎「ちなみに出身は?」
YA「長野市です。」
太郎「長野市ですね。だから戻って来た感じでもあるんですね。」
YA「そうですね〜」
太郎「東京に出てたけど、新しい活動の場を求めアーティストとして木曽に来たと、、、」
YA「はい。そういう事ですね〜」
太郎「マルオカ工業で働き始めたキッカケは?」
YA「どこかでアルバイトはしないといけないなぁとは思っていて、でするつもりだったんですけどその時丁度マルオカから『今怪我して休んでる人がいるから1ヶ月だけ来てくれない?』って言って頂いて、私も探していたしありがたいなぁと思って1ヶ月だけでもお願いしますって感じで」
太郎「社長が直接声を掛けたっていう、、、まぁでもそれほど逸材って事ですね」
YA「いやぁ〜そうですね!光るモノがあったのかなぁ〜笑」
太郎「そういう事ですね。それは素晴らしいことで、、で1ヶ月の筈だったけれど4ヶ月やったという」
YA「そうですね。なんかそのバイトするって返事してなかった時にたまたまマルオカに用事があって社長が『工場見学して行きなよ!』っていう風に、、それで先輩の太郎君に案内してもらったんですけど、その時に『今度働いてもらうから』って周りにもう紹介されてて、、気づいたら働いてたみたいな笑」
太郎「多少強引なところもあったと笑」
YA「そうですね〜でもそれが良い流れだったかなぁ〜って」
太郎「そうですね!僕としてもアーティストが1人増えて全然気持ちとか変わりましたから。とても良かったです。」
太郎「木曽で生活してみて感じる事、考える事はありますか?」
YA「あ〜そうですね。私引っ越してきたのが10月だったんで、もうとにかくそこから寒くなる一方で、、家の中でも1部屋から動けないみたいな。気温の変化で自分の活動範囲が狭まるみたいな事もあるんだなって思って」
太郎「あ〜そうですねぇ」
YA「外を歩いている人が居ないっていうのも寒いっていう理由もあるなぁとか」
太郎「まぁ気持ちも塞ぎますもんね〜」
YA「陽が落ちるのも早いし、なおさら歩かないなって」
太郎「長野市出身だけど結構違いますか?」
YA「そうですね〜。こっちの方が寒いし、長野市も山は見えるんですけど木曽って本当に山が近くて、、山の影に家が隠れるっていう。山の陰をこんなに身近に感じるんだっていう。これは結構独特っていうか」
太郎「全国的にもあんまり無さそうですよね。」
YA「私の家は1時くらいにもう陰ってきてたから。。」
太郎「今の話だと結構マイナスポイントが大きい感じがするんですが、その中でどういう風にポジティブに生活をしていましたか?」
YA「なんか人って全部繋がってるんだなっていう事を身近に感じて、例えば木祖村の〇〇で何か作ってるってなった時に、『あの人、誰々だよ〜」っていう風に、仕事をしている人の顔がすぐ分かるというか。私が何気なく使ってるモノだったり食べているモノだったり、今まで作ってる人の顔とかどこでどう作られてるとかそんなに深く考えなく生活してたけど、でも木曽のものになると『ああ、あの人か〜』『誰々の知り合いなんだ〜』みたいな。何気ないモノだったけど、急にちゃんと作り手の顔が見える。それが面白いなぁと思って。」
太郎「なるほど、確かにな。木曽は谷だからこもっているけれど、籠っているからこそ分かる範囲、見える範囲が明確になりますよね」
YA「面白いよね。本当にみんな全部把握してるっていうか。それがたまに都会から来ると窮屈に感じることもあるけど、なんか色んなものを大事にしようと思うっていうか。もうちょっと丁寧に使おうかなぁとか」
太郎「今まで忘れていた事を思い出したって感じですよね。」
YA「そうだねぇ〜」
太郎「作家とかそういう以前の問題。生活する上でっていうね、、なるほど〜」
太郎「マルオカでは普段どんな仕事をしていますか?」
YA「普段は結構工場の仕事が多くて、木製パネルだったりとかキャンバス木枠を作るのを主にやっています」
太郎「ちなみにその作業とかは4ヶ月でやってみて慣れましたか?」
YA「いやぁ〜、いまだに慣れないことは慣れないし、慣れてくることもあるんですけど、ずっと検品のシールを貼ることが苦手で、、」
太郎「そうなんですか!」
YA「シール貼ること自体は好きなんですけど、ものによってたがい違いに貼らなければいけないとか、この面にバーコードが見えるように貼らなきゃいけないとかが時間が開くとこんがらがっちゃって、、。一度一列全部違う向きに貼ってたりとか、、それは何回やっても毎回確認しないと出来なかったかなぁ」
太郎「あ〜でも僕も結構不得意で、、あれって一番最後の仕事じゃないですか。お客様に出す、、だから僕の判断がどこまで合ってるのか分からないっていうのがあって。」
YA「あ〜」
太郎「それでも先輩達優しく教えてくれますからね〜」
YA「本当に、、それはありがたいですね。」
太郎「苦手なことはシール貼りということですね。」
YA「そうですね。でもカンナが上手になったかな。」
太郎「あー」
YA「最初本当に出来なくて、何回やってもゴリゴリ音が鳴っちゃって、なんかゴミカスみたいなのしか出なかったんですけど、、でも腹筋に力を入れて挽けば良いって事に気がついて!そしたら凄いキレイに!」
太郎「それは僕も知らなかったわ。やりながら色々考えてたって事ですね。」
YA「そうそう。『こうかなぁ〜』みたいな。それから凄い楽しくなった。」
YA「なんか私工場作業ってほとんど機械でやって最後に人がチェックするみたいなイメージがあって。でもマルオカの仕事見てると機械に頼るところはあるけど、ちゃんとここは人の目で見るっていうところが決まっていて、それがどの現場でもあって。マルオカ工業の体験記っていうのを書いていたんですけど、そこで色んな人に話を聞いてみると、みんなの中にココはちゃんと自分で見るっていう職人の目というか、、ちゃんと責任を持ってこの商品を作っているっていうのが見えてそこが凄い面白かった。色んな人の話し聞くとか。」
太郎「なるほど〜そういう面は自分のアーティストとしての活動にも何か引っかかるものはありましたか?」
YA「マルオカで働いている人たちが作品を作っているというわけではないけど、商品に対するこだわりだったりとか商品に対しての思いは作品作りに通じるものがあって、ちゃんとモノに対して責任を持ってるというか、、、それが見ていて気持ちの良い仕事だなっと思いました。」
太郎「Yさんは漫画も描いたりもしていましたがそういうのはどうでしたか?」
YA「それはもうすっごい楽しくて、工場にアルバイトで入ってこんな事もさせて貰えるんだって思って。元々ブログを描いて欲しいって話があって、でも文字で書くより絵で描いてみたら面白いんじゃないかという事を提案したら社長が『あぁいいよいいよ、もちろんもちろん』ってなって。。マルオカの仕事内容を説明しながら自分がどう思ったか。っていうのをできるだけ簡潔に木枠とかキャンバスを知らない人にも伝えるっていう、盛り込みたい事がたくさんあるけどシンプルに削ぎ落として、削ぎ落として、、、でもそれだけでは面白くないから読んでてちょっと親近感が沸くような、こんなフランクな感じなんだ!って思って貰えるように描くのが難しかったけど面白かったかな。」
太郎「ちなみに週何回マルオカ工業で働いてましたか?」
YA「週3日かな」
太郎「Yさんの主はアーティストだと思うんですけど、働いていてアーティストとしての生活バランスはどうでしたか?」
YA「結構色んなアルバイトをしていたことがあったんですけど、あんまり環境が良くないバイト先とかだと家に帰っても仕事の事をずっと考えてないといけないというか、そういう事があると働いてはいないけどずっと仕事の事考えている状況になってしまって、、やっぱりそれでは意味がないというか。でもマルオカだと本当にみんなが気持ちよく働ける環境が出来ていて、だから週3で働くってなってマルオカに来ている間は凄い一生懸命仕事をする。でも休みの間はちゃんと自分のやりたい事に切り替えて働く事ができて。アーティストとして週3は丁度良いなぁって、、、」
太郎「両立できたって事ですね」
YA「ですね〜」
太郎「では最後の質問になりますが、実はYさんは4月から教師になるということでマルオカ工業は辞めてしまうのですが、このマルオカ工業での経験を踏まえ教師になることや、今後の何かイメージがあれば教えて頂ければと思います」
YA「これからやっていきたい事は、美術に興味がない人とか、好きじゃないっていう人とかに少しでも美術の面白さを伝えたいっていう思いがあって、そういう事を中学生の子供の頃に学んで大人になっても美術を楽しめる知識があったり、考え方になっていったらいいなぁ〜って。マルオカで経験したことを活かしていきたいっていうのは、なんだろうなぁ。中学校も木曽郡内の中学校なので職場体験じゃないですけどみんなでこういう場所に見学しに来ても面白いのかなとか、、私が体験記で以前書いた額縁の職人さんがこういうこだわりを持ってモノを作ってるとか。木曽郡内にクラフト系の作家さんも多いし子供達もそういう人達を間近に見てたりするのかも知れないけれど実際にそういう現場を見て、こういう思いでこういう物を作ってるんだってそういうのも授業に取り入れられたら面白いのかなぁって」
太郎「確かに。しかもYさん実際に働いてますもんね。働いていないと分からない事を切り出せたりとか、子供に教える幅が広がりそうですね。見るだけの見学じゃない事が出来るかも知れないですね」
YA「それでデカいキャンバスとか見て『わぁ〜描きたい!』ってなったら最高だなって笑。なんか面白くなりそうだな〜」
太郎「そうですね〜大きな絵を描く子ども達が増えたらとても面白そうですね笑。今日はたくさんの質問に答えてくださりありがとうございました。とても楽しかったです。」
YA「こちらこそありがとうございました〜。」
マルオカ工業の一員として、アーティストとして、漫画家として、そしてこれからは教師として様々な一面を持つYAさんのお話を聴けた貴重な時間でした。色々なことに優しくサラッとやってのけるYさんは今度は教育という現場で子どもたちと素晴らしい時間を作っていくのだとインタビューをして感じました。とても爽やか気持ちです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。それではまた次回?